何を読んでいいか聞かれたので
「初心者も読みやすく」
「冒険心も充たされ」
「達成感がある」
「読後に何か残る」
「世間的な評価もある」
という条件で
村上春樹作品を挙げたのだが・・・・・・・・・・・・
自分の手持ちだけでもこれだけある↓
という感じですわな。
とりあえず言えることは・・・・・・
『1Q84』だけ読んでも村上作品の真髄には触れられない。
ということ。
『1Q84』は売れた。売れたけど、
それは彼の作品の魅力に加えて
ライトノベル世代にウケるという時流に
乗ったからであって、
もっと良い作品はある!
個人的な意見だけど、
村上春樹の良さは
初期の短編に詰まっているような気がする。
ブランキージェットシティの最初のアルバムに
ベンジーの真髄が詰まっていたように、
イエローモンキーがインディーズ時代に出した
ミニアルバムに吉井さんの何かが詰まっていたように・・・
村上春樹の初期の短編集に
彼の魅力が詰まっている気がする。
特に、「スポイルされた女性」についての
描写が凄い。
この本↓の中の「今は亡き女王のための」という短編

この本↓の中の「トニー滝谷」という短編

この「トニー滝谷」は、実は映画化されているんですよ!!
村上作品ってめったに映画化されないし
(ノルウェイの森はされたけど、ユリイカ読むと評価微妙っすね)
マニアックな短編が映画化されたことは
あまり誰も取り上げないけど・・・・・・・
このトニー滝谷、
村上春樹の作品の空気感を出すことに成功している
稀有な例だと思う。
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「スポイルされた女性」のモチーフは
長編でも繰り返し登場します。
『ねじまき鳥クロニクル』でも、
『海辺のカフカ』でも、
『アフターダーク』でも、
『ノルウェイの森』でも、
主軸となるのは
「スポイルされた女性」
なんだな。
トニー滝谷は洋服依存、
ねじまき鳥クロニクルはSEX依存、
アフターダークは何かで徹底的に傷ついて眠りこけている女性、
ノルウェイの森は恋人の死。
あれ、カフカもそうだっけ・・・。
女性の中で、何かが徹底的に失われることって
表現するの難しいんだなぁ~
誰も表現できないけど、誰しもが
ヒリヒリと感じている何か。
だからこそ、村上春樹は何回も描くことにチャレンジしている。
この主題、
映画で、リンチ監督も何回も繰り返して描いているようにね!
ちなみに、デイヴィッドリンチと村上春樹の世界観はわりと
リンクしているので、両方並行して鑑賞すると
「あっち側」の世界に詳しくなれると思います。
☆リンチ監督の世界観については
このブログ記事で書いたので
もしよろしければ、こちらも読んでみてください↓
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/08/blog-post_16.html