2013年2月17日日曜日

桐島~の映画版を観たら、桐島~の監督の吉田大八の『腑抜けども~』も観るべし。

これまで、スクールカーストについていろいろな角度で考察してまいりましたが・・・

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ここにきて、ついに『桐島、部活やめるってよ』のDVDが発売!
この映画、小説版とは違う作品になっている気がします。
特に最後のシーン。
 
このラストシーンは邦画史に残ることでしょう。
 
『野ブタをプロデュース』で
小説版をドラマ版が超えたように
小説版の抑制が効きすぎてた部分を
解放して別作品になってた気がする。
 
この解放感・・・吉田大八監督の作品の
『腑抜けども悲しみの愛を見せろ』でも
感じたことを思い出した。
 
『腑抜けども~』では漫画家志望の地味な妹と
ビッチな女優志望の姉の対比・・・
最後に地味な妹がコツコツしていた努力で
一発当てる。(ここでものすごい解放感)
 
桐島の映画版を観たら、桐島の映画監督の作品である
『腑抜けども~』も鑑賞することをおススメする。
 
んで、『腑抜けども~』になくて、『桐島~』に
あるものってナニ??
 

といえば・・・『腑抜けども~』のほうは 
漫画を「田舎から抜け出す」「姉を見返す」手段として
使っているということだ。
 
姉をネタにして描いた漫画で
賞金100万円をGETして上京し、チャラチャラしている姉を
田舎に置いて一人勝ちすることが妹の目的だ。
(いや、ただ単に性格悪いけど題材としてオモロイ姉を
夢中で創作のモデルにしている創造性の光も
感じるんだけど、なんせ上京と賞金という目的があるため
創造性の美しさは二次的なものになっている)
 
でも、『桐島~』の映画版は違う。
 
映画監督になりたいわけでもなく、
賞を狙って出世したいわけでもない。
 
「好きな映画と、自分が撮っているものが
繋がっていると思う瞬間があるから」
という内的幸福のために
映画を創る前田君の姿を描いているのだ!
 
そこにあるのは、『腑抜けども~』の妹が持っていたものよりも
もっと純化された内的幸福である。
 
そして純化された幸福の強さである。
 
ラストシーン、前田君は菊池君をギャフンと言わせようとして
セリフを言ったわけじゃないんだな。
ただ、思っていることを言っただけ。
 
手段としての行動じゃなくて・・・
映画を撮る行為そのものを目的としていることの
美しさに、ギャフンと言わされてしまったのだ。
 
この映画、なぜ小説とは違うものになったか?という謎は
DVD付属のブックレットを読まないとわからない。
 
ここに本作品の制作者サイドの「新人プロデューサー枝見さんの日記」が
収録されているのだが、これは貴重だ!!

 
2010年に本屋さんで『桐島~』と出会い、
企画書を書き、その後、監督探しをして
吉田大八監督『パーマネント野ばら』を観て
(てっきり、腑抜けども~繋がりでこの監督にしたとばかり
思い込んでいたので意外だな)
吉田大八監督に依頼、作品が出来るまでを描いている。
 
初めて枝見さんと吉田監督が会って会話する
部分の日記に鳥肌が立った。
事前に監督に原作を読んでもらっていたので
話し合いはスムーズにいったらしい。
 
この場で、
 
「この映画で描きたいのは、前田と宏樹の接触。
2人が重なるあの場面は奇跡のように光を見せたい」
と吉田監督が語るのだ!(BYブックレットの制作日記)
 
これなんだな~
 
小説だと、抑制が効きすぎていて
映像化すると地味になりすぎる場面
(小説だと文字で心理描写できるのであれでOKだと思う)
をいかに表現するのか・・・?という課題を吉田監督は
奇跡のようにやってのけたのだ。
さらに、吉田監督が喜安氏に脚本を依頼。
小説の時間軸をバラして再構成していく。
ラストシーンの直前に、ゾンビ映画要素を
持ち込んで、さらに桐島の不在と掛け合わせ、
体育会系(スクールカースト上位)VS映画部(スクールカースト下位)
の乱闘を撮るなんて、もう、神業としか言いようがない。
 
女性の新人Pの企画×吉田監督×脚本家の相乗効果で、
小説と映画、違う作品になったんだな。
 
ラストシーンの「8mmカメラを媒介にして、映画を創るモチベを語る場面」が
主軸にあり、そのシーンを自然な流れで登場させるために
映画を再構成したのがよくわかる。
 
一瞬の奇跡のシーンに出会わせるための映画。
それが桐島の映画版なんだな~
 
 
 
あのラストシーン、天候も、神木くんの自然な演技も
相手役の表情も、空気感も、セリフも奇跡のようだ!
(バス男のラストもスクールカースト最下位の男が
上位をアッと言われるカタルシスがあるが・・・
あれはアメリカ的であって日本の美を
感じるのは桐島~のラストシーンだろね)
 
この映画は・・・
 
1)奇跡のラストシーン
 
2)前々からカワイイと思っていたキャンキャンモデル
山本美月が動いているのを観る
 
3)神木くん、子役からの脱皮途中で
オタになったというネットニュースを観たが
彼の新しい立ち位置を再確認
 
4)吉田大八監督の新境地を堪能
 
・・・と、さまざまな角度から味わうことができました。
 
最後に・・・前田が言ってた
「映画を撮ることの楽しみ」ですが・・・
これ、実はスマホ持っている人ならけっこう手軽に楽しめるんですよ!
 
でも、やり方がわからない!という人におススメなのがこの本。
 
前田君のいう8mmカメラはなかなか手に入らなけど
iPhoneだったら持っている人多いでしょW

 
この本で前田君が言っていた
「好きな映画と自分が撮っているものが繋がる瞬間」を
味わってみることができるかもしれません!

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追記:ツイッターで
「どくしょさん」から記事への
感想いただきました

どくしょさん:スクールカースト上位層として振舞うことすら斜め上から見始めた宏樹が、前田に対し、将来を見据えてやってるのかなぁ、それはそれでダサいなぁくらいに思ってたけど、実はもっと純粋な理由でやってて、しかもそれを言えちゃうことに驚く構図だと個人的には見てました。

私:なるほど~
映画版の菊池宏樹は上位じゃなくて
上位をナナメ上から見ている存在という設定ですね。
いわゆる「終わりなき日常」ってのを
恋愛しながら生きている層・・・宮台的立ち位置が
映画版菊池なのかな。
ということは。
やはり、ここで以前にブログ記事↓

http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_6.html

・・・で書いた「セックスよりも面白いことを見つけろ」
というメッセージに繋がってくると思います。

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