2013年2月23日土曜日

渡辺学『ユングにおける心と体験世界』

ブログ読者さんから
「偶然の一致」というテーマリクエストがありましたので
今日はユングをご紹介します。

この「偶然の一致」はシンクロニシティといいます。

このシンクロニシティ、何を観ればわかるかと言えば
映画『マグノリア』の冒頭部分を観ればよろしい。

 この映画、夫婦喧嘩で発砲→息子が飛び降り自殺する瞬間とシンクロ
落下途中の息子に威嚇射撃の弾が当たる・・・
っていう実際のシンクロニシティ事件が冒頭で紹介されています。

この「偶然の一致」ですが・・・こんな非科学的なことを
学問で扱った人がいるのかといえば、いるんですね、これが。

心理学者ユングです。
そして、ユングを題材にして書かれた博士論文の書籍化がこちらになります。

↓ここからAMAZONへ行けます

ユングにおける心と体験世界

この本のP179~がシンクロニシティ、つまり共時性についての考察になります。

1)共時性の概念はユングの晩年の成果である
2)1951年に口頭発表し、1952年のパウリとの共著でまとめられた
3)共時性の問題は論じるまでに20年かかっている
4)テレパシー、超能力、占星術などさまざまな問題を含むテーマ
(注:たんなるオカルト研究にならないために慎重に論じたのだと思います)

ここでユングが個人的に体験したシンクロニシティが紹介されています。
(あまりに偶然の一致が重なり、もはやギャグのようだW)

*1949年:ユングは墓碑をノートに模写
*上半身が人間で下半身が魚
*その日のランチは魚
*ランチの話題は魚
*数か月会っていなかった女性が訪問して魚の絵を見せてくれた
*同じ晩に違う人が魚の刺繍を見せてくれた
*翌日、知り合いが魚の夢を見たといっていた
*ユングは魚の象徴について論文書いた
*論文が書き終わると、家の前の堤防に1フィートの魚が乗っていたW

ユングはこの非科学的な共時性を分類したようだ。

1)観察者の心的状態と客観的外的出来事の符号
2)1)が↑はなれた場所で起こっていて、あとで確認できる事例
3)心的状態と未来とのシンクロ(伏線のようなものかな)

ユングは占いを↑これを目的に利用しようとしているもの、と考察している。
なるほど。占いは非科学的なものではなく
シンクロを利用してやろう・・・っていうものなのだな。

しかし、ユング凄いな。偶然の一致をできるかぎり論理的に説明しようと
努力している。たぶん、ユングにシンクロがおこりまくったのは
彼の努力が無意識を動かしたからなのではないか。

ここらへんは本書のP192を読むとわかりやすい。

1)ユングによれば、情動性は本能に基づく
2)本能の形相的な側面が元型
3)これらの偶然の一致には「不可能性」がまつわる
4)そのようなときに強い情動が生じ、無意識が活性化

定義もちゃんと決めている。

共時性とは・・・

1)同様に意味を持つ2つ以上の時間における
因果的には関係のない事象の偶然の一致

2)内的事象と外的出来事との対応

これをふまえて、映画『マグノリア』の冒頭シーンを観ると
すごくわかりやすい。

夫婦喧嘩はマイナスの情動。
息子は愛情の産物。
愛情を失うということは、同時に息子を失うということ。
息子は飛び降り自殺しても、防止ネットで助かっているはずだった。
しかし、夫婦の破壊的な情動が偶然の一致を呼び込み
威嚇射撃した弾が息子の胸に当たった。

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ユングがユニークなのは、これを心身論に適応している点だ!

共時性問題のバリエーションのひとつとして
考えるとこのように整理されるらしい。
(『ユングにおける心と体験世界』のP224より)






















デカルトの心身二元論:http://riekonaito.blogspot.jp/2012/04/blog-post_2409.html

まぁ、心身論はいろいろありまして、詳しくはこの本を読めばわかりやすいよ
http://www.amazon.co.jp/%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%81%98%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%AE%E5%80%AB%E7%90%86%E5%AD%A6-%E5%86%85%E8%97%A4-%E7%90%86%E6%81%B5%E5%AD%90/dp/4833140934/ref=ntt_at_ep_dpt_3

心身論をひととおり把握してからユングの心身論知ると、
ユングの心身論はユニークすぎることがわかる。
・・・でも、ユングの心身論ってマニアックだから
あんまり知られてないような・・・
ユングの心身論は面白い!
心と身体は因果関係になく、共時性関係にあるってこと。

つまり、心と身体はふたつの同調する時計のようなもの。

神→秩序つくる→その秩序の中に魂出現
→心と身体は同調させられた2つの時計のように
非因果的に独立して動いている

じゃあ、これらのシンクロが
ズレてしまったらどうなるか・・・?

というのはこの映画を観ればわかります。

80歳の容姿で生まれて、だんだん身体が若返る男の話。

たんなるトンデモ話だとスルーしてしまうともったいない!!
心身問題として観ると面白いよ!

おじいさんの容姿に生まれて、だんだん腹筋の割れた
かっこいい青年になって、最後は子供になって死んだ男・・・
ベンジャミンバトンの話。

通常、人間はじわじわと成熟して旬を迎え、
そしてじわじわと年老いるから
「人生は一回きり」ってことがわかっているようで、わからない。
でも、ベンジャミンバトンは喪失した状態で生まれて
若さを獲得していくので、「ありがたみ」「青春の1回性」
みたいなものがわかりやすいんだな~

全ての人間がベンジャミンバトンみたいに
老いから若さへ向かって成長していけばいいのにと
思うくらいですW

次は、「若さ」についても論じてみたいです。

若さ=美徳ってのはどうなの?ってこと。
アンチエイジングブームに乗って「オトナ女子」や
美魔女がもてはやされている中、
これはどうなんだろうか?ということを論じたいです。

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